住み込み月給500円の苦労、昭和37年、
日々の何気ない日常にも、思いがけない衝撃がある。
昨日は、午前中の洗濯屋さんの後、行きつけの床屋さんへも行った。
床屋さんは、地元の小さな、台が一台の床屋さんで、もうすぐ80歳になるおばちゃんがひとりで元気にやっている。
そこで、昨日、散髪中に、私は、たまたま、瞽女の小林ハルさんの人生の言葉で感動した話をしたら、床屋さんのおばちゃんの「おしん」みたいな苦労話を聞いて、びっくりした。
小林ハルさんは、「人生は好い人と会ったら祭りをして、悪い人と会ったら修行させて貰いなさい」と人生訓を遺している。
床屋のおばちゃんは、17歳で、理容室に住み込み(月給500円、床屋代が250円の時代、昭和37年)で働いて、雇い主の女将さんから、こき使われて、いじめられた3年を勤めあげた思い出を語ってくれた。
油あげ2枚を煮て、6人の住み込み店員で分けて食べるほどの酷さ、新しく入って来る店員は、すぐ女将さんと喧嘩してやめて行く中、自分だけ3年も、泣きながら勤めあげたことを、今では、あの悪人に感謝さえしてると言っていた。あの酷い人間と会ったからこそ、私は何にもへこたれない強い人間になれたと。
哀しい苦しみの体験の話なのに、私は、その話に、清々しい気持ちになれた。