不条理との戦い、アルベ-ルカミュの示唆
アルべールカミュの名著「ペスト」は、1947年に出版された。
感染症に関する本としての意味合いに、彼は、人生で遭遇するあらゆる不条理を「ペスト」と表現し、如何に生きるべきかの彼の人生の苦悩が、人々の共感を得るのだと想う。
全体主義ナチスとの戦い、ペイン内乱、自然災害、身近な不幸、全てを彼は「ペスト」と表現して、弱いながらも人間の戦い方を示唆している。
目前の惨事には、理念も棚上げして、黙々とヒューマニズムに従って「誠実」に生きる。
人間の力では、如何ともし難い時は、彼は、神の力を信じなければならないとも知っている。
それでも、人間としては、彼は一元的な世界観に対して「Non」と云う。それが彼の、最大の魅力なのだと想う。そう云う「揺らぎ」を堂々と言えることは、弱さではなく強さだと想う。
そんなカミュが、禅を学ぶ私に強烈に、真剣に訴えて来る。
般若心経にある「無智亦無得」とは、「修行は永遠の未完」と云う。