林芙美子「浮雲」、
今朝、日経新聞の一面の小さなコラム「春秋」に、林芙美子晩年の代表作「浮雲」が、紹介してあった。
今のベトナムに当たるフランス領インドシナ、戦時中に当地で出会った男女の物語。
女はタイピスト。男は農林省の技師。
私の母は、満州ハルピンで和文タイピストだった。当地で早稲田大学出身の男性と知り合い結婚した。当時の夫とは終戦の頃に死別した。
母は、林芙美子の作品が好きだった。ハルピンのロシア風の街のことも、私に話して聞かせてくれた。
林芙美子の「浮雲」を、母が好きだった理由が初めてわかった。
私も、一度ハルピンに行ってよかった。母の人生が目に浮かぶ。
人生の苛酷さも美しさも、今の私には、ごちゃ混ぜで、それで味わえる。
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