年老いた姉から「ハグして」の言葉、
年末郷里に帰省した時、いつも会う独り暮らしの姉と、弟家族。
16才上の異母兄弟の姉は、一年前に比べて身体が弱っていた。もうそろそろ独り人暮らしは無理と感じ、半年くらいしたら自分で施設に入るつもりになっていた。
異母兄弟の私を、いつも我が子のような気持ちで接してくれた。
いつも私が帰る時、辛い表情をした。今年は、私が帰る時、「ひろし、ハグして」と云って私を驚かせた。兄弟で初めてそんなことを云われたが、私はすぐ姉の云う通り照れながらもハグした。
日本人どうしの、姉との初めてのハグ、それは人生の哀しいほどの愛おしさだった。
姉の住む独り暮らしのアパートから、私は、涙を隠して駅に向かった。
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