戦没者記念館で出会った詩、
先日、たまたま講演会に訪れた後楽園の戦没者記念館、展示品の中で見つけた遺族の詩が、私の心を揺さぶった。
いつかお話しましょう。独りで生きて来た日のことを。
想い出して下さい。おやすみになる前に。水無月がまた廻って来ました。
お発ちになる時に、隊列の中に見つけた貴方に、遠くから手を振った私を、緑がまぶしいほど光っていた真昼の、あの時の青いセルの着物を着ていた私を。
聞いて下さったでしょうか、貴方の背に叫んだ私の声を、それを問うすべもないままに、月日ははるかに流れました。
再び会えないなどと、どうしてあの時思ったでしょう。消すことの出来ない記憶の中に、長い陰を引いて隊列が行くのです。
想い出して下さい。おやすみになる前に、白い李の花が咲いていた、貴方のふるさとを、いつの日か、お会いした時に、お話しましょう。独りで生きて来た日のことを。あの時の青いセルを着て、、、。
昭和19年7月北支で戦病死された満田巌氏のご遺族・満田道子さんの作品から。
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