国定忠治の最期、
江戸時代の侠客・国定忠治は、今でも大衆演劇で必ず演じられるほどの大人気の人物である。
彼が関所破りの罪で、礫(張り付け)の刑で、槍で突かれる前に言ったと云う言葉を調べて、彼が最終的に到達した高い精神の境涯に胸を打たれた。
「手前儀、悪党を致しまして、国の見せしめになって御成敗と決まりありがとうござんす。お陰で小伝馬町牢内でも、身持ち大切にできやして、かように天下の御法に叶うことに相成り、天にも上るような喜びにござんす。」と云って目を閉じたと云う。
一槍突いては、引き抜くごとに、かっと目を見開き、1500人の見物人を見渡した。また目を閉じ、12回まで繰り返し、13度目で死んだと記録は伝える。
弱い人を助け、強い人をくじいたと云う、国定忠治の最期の場面を初めて知った。
世は天保の大飢饉の暗い時代に、真剣に生きた男の清々しい風であった。
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