五木の子守歌
最近、住職に紹介して貰った「南の島に雪が降る」と云う映画の中で、森繁久彌が唄う五木の子守歌の場面をビデオで見せて貰った時、衝撃が走った。明日は、玉砕と云う兵士達の前で、にわか仕立ての舞台の上で、森繁中隊長が貧しい子守娘の姿で五木の子守歌を唄ったのである。
私の母や姉達がよく口づさんでいた唄、子供だった頃、田舎の風景がどっーと浮かんで来て胸が、熱くなった。
その後、改めてこの唄のルーツをしらべて見て、また衝撃が走った。
熊本の山間・五木村は平家の一族が住み、隣村に源氏から派遣された「よか衆」に搾取監視されて、農奴として一生を終えた被差別部落の人々の哀愁歌であった。
娘は小さい頃から、子守役の奉公に出され、その時の哀愁を唄ったものだった。
「おどま盆ぎり盆ぎり、盆から先やおらんど、盆が早よ来りゃ早よ戻る」「おどま勧進(乞食)勧進、あん人たちゃよか衆、よか衆よか帯よかきもん(着物)」「おどんがうっ死んじゅうて、誰が泣いてくりゅか、裏の松山、蝉が鳴く」「おどんがうっ死んだら、道ばたいけろ、通る人ごち花あげる」
なんだか、この唄を口づさむと、かぁちゃんと会った気がする。
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