「私の兵隊さんが来てくれた」、居酒屋の女将さんのつぶやき、
私が時々会社帰りに途中下車して立ち寄る行きつけの居酒屋さんは、演歌が流れ、料理人で無口な高倉健さん風のマスターと、接客で大忙しの女将さん、それにアルバイトの学生らしき男の子がいる。
先日、私が、早くからカウンターで飲んでいると、女将さんが、「兵隊さんが来た」「やっぱり頼れるのは男の子や」と云ったので何のことかと思ったら、、店に入って来たのはリック姿の学生アルバイトの男の子だった。
少し前に、マスターに一挙一動を、悉く注意され、叱られっぱなしの男の子がいて、私は、可愛そうで、早目に店を出たことがある。その、叱られっぱなしだった男の子が、今は、前より、頼もしくなって、仕事をこなしている姿を見て、目頭が熱くなった。
その男の子が、焼酎の水割りを作りにカウンター内に入ると、またマスターが近づいて来て、よく見ながら、何か云おうとする。 その様子を女将さんが見て、黙ってみていればいいのにと、マスターの行動に苛立っている。 男の子を庇っているのだ。 男の子は、淡々とやるべきことをやり、もう大丈夫の様にも見えて、頼もしかった。
ただ、それだけの光景に、男の子の成長振りに、私は、感動し、目頭が熱くなった。
しかめっ面のマスターも、苛々している女将さんも、アルバイトの男の子も、全てが、何か、全てが愛おしく想えた。
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