高田敏子の詩、布良(めら)自然村で知る
房総・布良の自然村の正翠荘ホテルのロビーの壁に、高田敏子の詩が飾ってあった。 布良海岸と云う題の詩も有名で、高田敏子の足跡を偲んで、布良を訪れる人も多いのだと云う。
私は、その後、高田敏子のことを調べてみたら、心に染みる詩に出会った。
それは、"日々"と云う題。
「小鳥がいて、黒猫の親子がいて、庭には犬がいて、
夕方の買い物は、小鳥の為の青菜と、猫のための小鯵と、犬のための肉と、それにカレーライスを三杯もお代わりする息子がいた。
あの頃の買い物籠の重かったこと。
今は、籠も持たずに表通りに出て、パン一斤を求めて帰って来たりする。 みんな時の向こうに流れ去ったのだ。
パン一斤の軽さを抱えて、夕日の赤さに見惚れている。」
この詩に対して、高田敏子をよく知るお弟子さんの一人は、"一人残されて生きる哀しみを通り越した、透明な安らぎ"を表していると想いますとコメントしてあった。
高田敏子の詩との出会いも、私の旅の"小さな驚き"であった。