唇を噛み締めて水を運ぶ少年の姿の写真、被災地、
震災の瓦礫の中、唇を噛み締めて、水を運ぶ少年の姿の写真がある。
高倉健さんが、いつも持ち歩いていた台本に、貼り付けられていた新聞の切りぬきの写真である。
私は、その写真を見た時、瞬時に、高倉さんが、大切に持ち歩いた意味がわかるような気がした。
高倉さんは、その写真を宝物ですと云っていたと云う。 「人生は切ない。切ないからこそ、何かに、うわっと感じる瞬間がある」と語っていたと云う。
高倉さんは、その写真の中の男の子に、いつも心の中で、頑張れと声援を送っていたと想う。
そして、それは、自分自身でもあったのだと想う。また、その写真に、いつも励まされていたのだろう。
たった一枚の、歯を食いしばって頑張る少年の姿の写真が、万巻の経より人を導くこともあると想う。