抑制の美学、慈悲、優しさ、強さ、それが高倉健だった、
一人の意外な男が、日中関係に大きな光を灯した。
中国政府は、高倉健さんの死に異例の哀悼の意を評した。私は、日本人で、これ程、中国に死を悼まれた人を知らなかった。また、日本政府は、彼に、国民栄誉賞を検討していると云う。日中両政府が、高倉健さんの死を通して、エールの交換をしている姿に、鳥肌の立つような感動を覚える。
中国を想う時、私は、私の父の家族の満洲からの逃避行を助けてくれた行商人の袁さんと云う人のことをいつも想い出す。
高倉健さんは、いつも何か抑制しているイメージがある。抑制の中に、私は、慈悲、優しさ、強さを強烈に感じる。 言葉が要らないのだ。
彼は、世間で云う成功や幸せな結婚をした人ではない。ただ、不器用なほど、一生懸命に生きて来ただけなのだ。
私は、高倉健さんと会ったことはなかったが、これから、私は心の中で、いつでも会話することが出来ると想う。