「顔の傷」と云う手記、誰しも大きな無知を恥じる衝撃、
昨日、「顔の傷」と云う手記を、どんな内容か知らないまま、たまたま読んだら、それは、仏性へ目覚める様な、衝撃の手記だった。 このような手記に出会って、私は、奮い立つ想いに成れた。
[私は母の顔がすごく嫌いでした。何故なら大きな火傷の跡があるからです。よそのお母さんはあんなに綺麗なのに何で私のお母さんは・・・とか、何でこの人が母親なんだろうとさえ思ったことがありました。
そんなある日のこと。その日の学校の四時限目に、私は急いで廊下に出てみると、何と、母が忘れた課題を学校まで届けに来ていたのです。「なんで学校にきてるのよ!取りに帰ろうと思ってたのに!」と息を立てて問い詰めると、『でも、めぐみちゃん夕べ、頑張ってやってたから・・・』と云いました。
私は、「お化けみたいな顔して学校来ないでよ、バカ!」と言って母から課題をひったくるように取り上げるとすたすたと教室に入っていきました。自分の母親があんな顔をしていることを友人達に知られてしまったことで、私は顔から火が出る思いでした。
その日の夕飯後のこと。私は父親に呼ばれました。昼間のことで怒られるのだろうな・・・と思いました。すると父親は予想に反してこんな話をはじめました。お前がまだ生まれて数ヶ月の頃隣の家で火事があってな。その火が燃え広がって、うちの家まで火事になったことがあったんだよ。
そのときに二階で寝ていたお前を助けようと、母さんが煙に巻かれながらも火の中に飛び込んでいった時に、顔に火傷を負ってしまったんだよ。今、お前の顔が綺麗なのは、母さんが火の中に飛び込んでいってお前を助けたからだよ。
私はそんなことは、初めて聞きました。そう云えば今まで火傷の理由を母から聞いても、あやふやな答えしか返ってきたことはありませんでした。「なんで今まで黙ってたの?」私は涙ながらに母親に聞くと、『めぐみちゃんが気にすると思ってずっと黙ってようと思ってたんだけど・・・』と云いました。
私は母への感謝の気持ちと、今まで自分が母親に取ってきた態度への後悔の念とで、胸が張り裂けそうになり、お母さ~んと言って母の膝の上でずっと泣いていました。今では自分の母の顔のことが誇りにさえ思えるようになりました。家族を、私を守ってくれた母のこの顔の傷のことを・・・。]
私は、この手記を読んで、道元禅師の"修証義"の懺悔の句を読みたい気持ちになった。
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