横浜、艀(はしけ)改造の船劇場、そこにも宮沢賢治、
先日、初めて、横浜ボートシアターなる荷役船改造の小劇場に行って、仮面劇と三味線語りの口承文芸を鑑賞した。
横浜・石川町の川や、横浜港の港湾作業場の近くの船溜りで、ダルマ船と云う作業船の荷台を改造して小劇場を作り、仮面劇・人形劇を、もう1981年から続けている芸術家たちがいたことを、私は、最近初めて知った。
今回は、山下公園の端っこから、更に外れた場所にある「波止場食堂」の先に、その作業船改造の小劇場(第7金星丸)は停泊していた。その会場へのアクセスは、まさかと思う様な、けもの道のような小路。また、到着した艀(はしけ)の内部の劇場空間は、作業船の内部を感じさせ、もう既に劇場そのものが芸術と云うほどの驚きの空間だった。
そこで、見たのは、宮沢賢治の"土神と狐"と云う作品の仮面劇と、三味線弾き語り(古典・小栗判官一代記)であった。"土神と狐"では、人間も持つ煩悩の苦しみと結末は、宮沢賢治の仏性の世界を暗示させていて、見た後に、じわっーと、心に訴えるものがあった。仮面は、見る人の想像力の世界に訴える分、生身の人間の顔よりも、寧ろ表現力があるとも実感した。
三味線弾き語りは、江戸時代の口承文芸とのことで、初めて知った。江戸時代の庶民の楽しみであった様子が想像できた。
そんな不思議な体験も縁が成せる業、宮沢賢治の世界も縁が成せる業であったかと想う。
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