汐待ちの港、人生の港、
東西の潮流がぶつかり遭う場所、広島県・鞆の浦、そこは石と石がぶつかって火が出るように、"火打ち灘"とも呼ばれているとのこと。正月の初日の出ので案内してくれた人は、村上水軍の末裔の人でもあった。そこは、 約3000の島から成る瀬戸内海の丁度真ん中地点。
いにしえから、この港で、汐の流れの変化を待って、船を出していたと云う。
人生にも、汐待ちの港が必要なことを想う。
大変な不幸に見まわれた時は、じっとその不幸が過ぎ去るのを待つ。それは海の嵐のようなもの。
汐の流れが変わったと思った時は、船をそっと漕ぎ出す。また流れが変わったら、近くの港で待機する。
力づくで航海しては危ない。自然に身を委ねて柔らかく、丁度好い風が吹く時に帆を張る。
有明海の干潟のムツゴロウも時々潮が引いたら、穴を出て来て、干潟を飛び回る。蟹の潮招きは、片手の大きな爪で潮を招いているような滑稽な風情。
私も、一人、人生の汐待ち気分で、海を見る。そんな静かな正月気分。
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