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July 01, 2013

国木田独歩、"忘れ得ぬ人々"、

国木田独歩の「武蔵野」の中の、"忘れ得ぬ人々"と云う短編に興味を持ったのは、一昨日、訪れた溝の口の国木田独歩の碑をみてから。

溝の口(高津)には、国木田が訪れた旅館・亀屋があり、亀屋の主人も、国木田が云う、忘れ得ぬ人々の中の一人であったと云う。その亀屋の跡に、島崎藤村が書いたと云う、国木田の碑が立っている。

国木田にとって、忘れ得ぬ人々とは、恩師や友人など忘れてはいけない人の事ではなく、相手とは何の義理も人情もなくて忘れてしまっても誰も咎めないのに、なぜか忘れられない人のこと。

そして小説の中で、国木田は、忘れえぬ人々を一人一人語っていく。一人目は、帰郷する船の上から見た、人気のない海岸でたった一人で何かを拾う男。二人目は、九州阿蘇山へ登った時に見た、悲しげに民謡を歌う牛引きの男。三人目は、四国の町を散策した時にみた、雑踏の中で誰からも省みられずに琵琶を弾く老僧。そして、彼は、亀屋の主人を付け加えている。

国木田は、主人公を通して云う。「僕は人生の問題に苦しんでいる。苦しみのあまり、時に主我の角が折れて、人を懐かしく感じるようになる。そのとき、これらの人々を思い出すのだ」、と。

国木田の文学が大好きだった母、こんなところにも、惹かれていたのではないかと、一昨日気づいた。

たまたま、森林インストラクター主催の自然散策の会で訪れた溝の口での、小さな驚きであった。


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