出光左三と禅、鎌倉・東慶寺に眠る、
石油業界の歴史に残る大人物・出光左三の本(水木楊著・PHPビジネス新書)を最近読んで、大変、驚いたことがある。
「死んだら鈴木大拙先生のそばに埋めてくれ」が遺言だったと云う。遺族は、遺言をいかし、鈴木大拙先生が眠る鎌倉・東慶寺に分骨したとのこと。
鈴木先生の墓から数メートルの距離に出光左三の墓はあり、両者の間を阻むものはない。鈴木の墓を正面に見て建ち、出光の墓は、その鈴木の横顔を見詰めるように置かれていると云う。
もう一つ遺言がある。「鈴木先生よりも大きな墓にしてはならぬ」と。出光は鈴木先生の教えを吸収し、「生死即涅槃」の禅の世界に魂の終の棲家を求めた。苛烈な人生の果てに、辿りついた精神世界の静けさであったと。.
私は、数年前、前田行貴先生の講演を聴きに、東慶寺に行ったことがある。
そこに、鈴木大拙先生の墓も、出光左三翁の墓もあったことを知り、是非、また訪れたいと想った。石油業界の大人物、出光左三翁が、禅の世界に、それほどの繋がりのある人であったとは、大変、嬉しく想った。
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