人生峠の俳句茶屋、
先日、市ヶ谷アルカデイアに、国際俳句協会の大会入選作の発表会に行ってみた。
俳句の持つ寂な安らぎ、人生の耀き、人生を眺望する茶店にでもいるかのように感じた。
「蜩(ひぐらし)の集まって来る無言館」。長野県・菅平にある戦没画学生達の遺作を集めた無言館。耀いた命に、安らかな眠りを願って、蜩の声が、お経のように聴こえて来る。
「不器用に生きて八十路や花茗荷」。花茗荷は、中が空洞になって食用にはならないらしい。人生の滑稽さ、可愛らしさを感じる。
「昼顔や破船の舳(へさき)沖を指す」。壊れても尚、舟のへさきは沖を指す姿は好い。修行する人生は、今世だけではない、発心、誓願の凄さを連想させる。
「広重の絵が動き出す大夕立(おおゆだち)」。日々の営みにも潜む、人生の素晴らしさ・・・・・。
思いがけず出遭った句に、まるで、人生の峠の茶店から、人生を眺望しているかのような感覚にもなれた。
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