昔あったずもな♪、河童の淵の光景、
遠野の民話は、「昔あったずもな♪」で始まる。その優しい響きは、何とも云えない。
座敷童子、河童、オシラサマ(養蚕の神様)の話など、遠野には約800余の民話が伝承されているとのこと。
"河童の淵"は道路脇のポールに英語でも案内されていて、"Kappa Pool"。行く前から、もう笑顔になってしまった。ひまわりやコスモスに囲まれた小路を通り、無人の農作物販売所の小屋があって、牛の匂いがして、"河童の淵"は、曹洞宗・常堅寺の境内から入る淵だった。
川には、丁度、女の子が2人、川に釣り糸を垂れていた。のどかな光景に、ぼんやりと近付いて行くと、私は大笑いを堪え切れなかった。女の子達は、釣り糸の先に、大きな長いきゅうりを結んでいたのだ。後ろには、見守るお婆ちゃんが椅子に坐って見ていた。
私は、暫くその光景にくぎづけになった。子供達は、飽きもせず、河童が釣り糸にかかるのを、竿をあっちやり、こっちやりしながら待っている。
この土地は、確かに、座敷童子もいるところだと想えて、ほんわかとした気持になった。
東北の豪族・安倍一族の館跡も近くにある常堅寺は、遠くは、安倍一族の菩提寺でもあったと云われる。その安倍一族の子孫の方が、この河童の淵を守っておられる。寺には、本堂の賽銭箱の両脇に、狛犬のように、河童が祭られていた。河童の淵の入り口付近の寺の畑には、色とりどりのマリーゴールドが咲き乱れていた。
遠野から帰った後も、「昔あったずもな♪」、「どんどはれ♪」(おしまい)、を呟いてみたくなる。
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