踏絵、長崎の碧い海、
長崎を訪れた遠藤周作が目にした踏絵には、それを踏んだ人々の"黒ずんだ指の痕"があった。そこに、信仰を裏切った人々の声を聴いたことが、小説「沈黙」を書くきっかけになったと云う。
キリシタン迫害の時代、布教の夢に燃えてポルトガルから日本にやって来たロドリゴ司祭、その後、その夢のために多くの日本人の血が流されることを知り、遂に踏絵に足をかける。
それは、今まで、誰もしなかった一番辛い愛の行為であった。
「踏むがいい。私はお前達に踏まれるために、この世に生まれ、お前達の痛さを分かつために十字架を背負ったのだ。」
遠藤周作は、長崎を、"心の鍵が合う街"と呼んでいたと云う。
私の母が生まれ育った長崎、大きな愛に包まれる街。
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