黄金虫救出の通行人、夏の日の朝の光景、
先日、朝、通勤途上、私が歩く舗道の上に、黄金虫が仰向けに転がって、足をバタバタして、起き上がれなくて困っている場面に遭遇した。
その様子が、滑稽で、可笑しくなったが、そっと、ひっくり返して助けてやった。黄金虫は、何事もなかったかのように、舗道の脇で、体勢を整え、じっと黄金虫らしい格好で、静かに、動きだそうと考えているようだった。
そして、私は、その様子を、微笑ましく、確かめて、その場を去った。
黄金虫が転倒している場面は、子供時代から何度か見かけて来た。「黄金虫が転倒してどうする。そりあ、天道虫じゃないか。」その光景は、考えると、やはり可笑しい。
天道虫は、小さくてオレンジ色の点があったり、英語で、"Lady Beetle"とか、"Ladybird Beetle"と云うらしい。黄金虫は"Gold Beetle"、これらの可愛いらしい英語表現を粋に感じる。
黄金虫が転倒して、死に掛けて、窮地を救って、私は、その場を颯爽と去って、会社へ急ぐ。黄金虫は、せめてお名前をと、去り行く私の後姿を眺める。 「名乗る程の者じゃございません」
夏の青い空、白い雲、蝉の声。そんな夏の日の朝。
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