旅の出会い、遠藤周作と長崎、
作家・遠藤周作と三浦朱門が、二人で長崎を旅した時のことを、遠藤周作は、1972年、新聞のコラムに"ご縁"と題して書いている。
長崎のしゃれたレストランで、たまたま、店に居合わせた二人のお嬢さんに、長崎の土産物を聞いたこと、そして、土産物を買ったあとも、そのお嬢さんのお母さんから電話で、寿司屋さんまで紹介して貰った想い出を、旅の感動の想い出として綴っていた。
「私があの日、あのお嬢さんに会わず、そして田中さんご一家と知りあいにならなければ、私にとって長崎は、美しい可愛い街ではなかっただろう。だが、田中さんご一家と知りあったため、私は長崎が好きになり、長崎のキリシタンを勉強し、やがて、"沈黙"と云う小説を完成することが出来た」と。
私にも、旅のそんな、ほのぼのとする出会いがあることがわかる。 人生は縁に包まれている。 そして、その縁は、自分の魂が引き寄せている。