気体となって、執着に遊ぶ、風のように、
「無我」とは、目の前に立てた一本の指に、宇宙一切が凝縮して飲みこまれてしまうようなもの。
全部飲みこむから、変化しようが無い。時空は存在しない。
「無我」を知れば、執着に遊ぶことができる。
執着は、"個"があるから生まれる。
人間は固体ではない、エネルギー体。エネルギー体は、波動として宇宙一杯に広がっている。
身体を持った人間は、生き死にと云うより、固体(粒子)から気体(波動)、気体から固体へ単に転生していると云った方が科学的には正しい。
人間の生まれる前の途方もない長さ、肉体が死んでから後の、果てしない長さ、生きている間の業(執着)なんて、吹っ飛んでしまう。
目の前に立てる一本の指、「一指頭(いっしとう)の消息」、個体たる人間が、気体となって宇宙一杯に広がる。
昨日、住職の立てた一本の指には、宇宙がすっぽり飲みこまれていた。生きてもいない、死んでもいない世界が広がる。
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