「朝風呂や、笹の葉ずれと、鯉登り」、熊本・玉名、人生の旅、
熊本県・玉名は、福岡県に近い、西南戦争の時、薩摩軍が北上した一番北の地点・高瀬の近くであった。畑の真ん中に竹水館旅館はあった。
全国からと云っても14名の満洲・鳳城関係者が玉名に集まり、昭和33年(1958)から続くと云う鳳城会。私が参加し始めた2003年からも、毎年誰かが亡くなって行く高齢化。私のように、メンバーの子供の代、親戚の方の参加者も少し含めての会である。今参加されてる方々の大半は80前後、それでも予科練だった方々など、やはり、眼に力があり、キビキビされてるところがスゴイなーと想った。
宴会の前の記念写真、そして、再会を喜ぶ挨拶、来年また会いたいとの挨拶が恒例で、ちょっと侘しさもある。だからこそ、その宴が、心に焼きつく。今回は、地元もメンバーの方の妹さんやその知人の方々の地元民謡の舞踊も見せて貰った。ステージには、自分達が折り紙で作られた、小さな傘が敷き詰められ、あでやかな衣装で、民謡や荒城の月など、踊りを披露して頂いた。
客席で、日本酒の杯を傾けながら、私は、感慨に耽った。当時の満洲・鳳城は、終戦までは、天国のような、豊かな生活だったと聴いていた。たぶん、こんなにして、私の父も、家族も、満洲の生活を、日本の民謡などを楽しみながら、宴会もしていたことだろうと想った。その時の私は、当時の父、そのものになっているように想った。
宴会のお開きの後も、名残惜しく、夜遅くまで、部屋で話し込んだり、それでも朝6時から、朝風呂も楽しんだ。メンバーで俳句好きの方が読まれた句、「朝風呂や、笹の葉ずれと、鯉登り」。露天風呂の庭には、小さな竹が植えられ、笹の葉が揺れていた。近くに見える家には、旧暦の祝いらしく、鯉登りが棚引いていた。
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