今生の別れとは何か
「時間を直線的に捉えるから悲しい、時間を円で考えれば好い。」と住職は云った。
直線上に、「行ってしまうと思うから寂しい」と。
私は、たまらず、「今生ではもう会えない」と云う寂しさについて、私は住職に問うた。
「一方のみを考えるのは、誤り」。「勝ったと思った瞬間、もう負けている」。「吸う息の次は、吐く息。吸い放し、吐き放しと云うのは自然界、宇宙には無い」。
「会えないと嘆く心は、既に、もう毎日会っているではないか」と、回答された。
会った時、既に別れが始まり、別れた時、既に再会が始まる。
時間を、遠い地平線に直線的に、見送るのではなく、グルっと回って来る円で捉える発想に、私は、戸惑いながらも、光明を見る思いだった。
「得ることは失うこと、失うことは得ること」。ただ、急いで書きなぐった住職の言葉に、更なる手がかりを探る。
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