父親の言葉の情景
私が子供の頃、父はよく、私や、姉、妹、弟が家から出掛ける時に、「ハンカチ・チリ紙持ったか?」と、口癖のように、またちょっと茶化したように云ってニヤニヤしていた。
また私が大学時代、横浜から大牟田にたまに帰省すると、何か話したいのに、モジモジして、ぎこちなく、周りに近づいて来て、「福岡空港行きのバスは、東新町発・・時・・分ばい」とか、突然、脈絡のないことを云っていた。
私が、18歳以上になると、「酒は、飲み習うたかい?」とか云っていた。酒を飲むことを習うとか云うのは、如何にも、田舎っぽく、年寄りっぽく、可笑しく感じた。「酒は飲みなろうたかい?」とか云ってたのは、実は、私と飲みたかったんだなーと、今は痛いほどわかる。
何気ない、遠い日に聴いた父の日常の言葉が、何故か、モジモジした愛情を感じて、懐かしい。
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