自然界の自己犠牲の美
昨日朝、横浜の地下鉄みなとみらい駅から地上へ昇る階段の壁に、大きな字の詩が書いてあるのを初めて、全部読んで、衝撃が走った。探していた境地が、書かれていて、心が一挙に軽くなった。それは、ドイツ人のシラーの詩であった。
「樹木は成育することのない無数の芽を生み、根をはり、枝や葉を拡げて、個体と種の保存に有り余る程の養分を吸収する。樹木はこの溢れんばかりの過剰を、使うことも、享受することも無く、自然に還す。動物は、この溢れる養分を、自由で嬉々とした自らの運動に使用する。この様に自然は、その初源から生命の無限の展開に向けての序曲を奏でている。物質としての束縛を少しづつ断ち切り、やがて自らの姿を自由に変えて行くのである。」
私は、この壁の前を何度通ったことだろう。全部、読んで、心は、泣きじゃくりたくなる程の発見の歓びであった。宇宙・自然の自己犠牲。自他一如の世界を、このように詠いあげてる詩を私は見たことはなかった。
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