愛と云う響きの危険
愛と云う言葉は、素晴らしい言葉の響きを持っている。
だが、愛と云う言葉にも、夢と同じように凶器を含んでいる側面があることを思う。一つの愛が、他の排除、他への無関心を伴って進行して行く時に、愛は凶器、狂気にもなって行く。
自分の国を愛するが故に、他国を悲惨な滅亡へ向かわせることもある。自分が愛する特定の人のみに、気を取られている間に、多くの人の悲惨な苦しみに、背を向けることもある。
一定の愛が、先ず全ての人に向けられてこそ、その後に、特定の自分の国、自分の特定の人に向けられてこそ、美しい生き方になる。自分の国のみ、自分の家族のみに愛が向けられた場合、美しさは消え、醜ささえ生じる。
他国の存在を忘れて、他人の存在を忘れての愛も、美しい愛として語られる大いなる危険が、人間社会には存在している。